塩野 七生
銀色のフィレンツェ―メディチ家殺人事件
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人気ランキング : 94910位
定価 : ¥ 630
販売元 : 朝日新聞
発売日 : 1993-10 |
価格:¥ 630
納期:通常24時間以内に発送 |
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メディチ家が君臨する16世紀前半のフィレンツェを舞台とした、優雅な香りの漂う歴史小説。
ストーリーは、メディチ家傍流の若者ロレンツィーノが、暴君アレッサンドロに憎悪の念を抱き、そして暗殺実行に至るまでの一連の流れを軸に展開される。しかし、あくまでもこの小説の主役はロレンツィーノやアレッサンドロといった一個人ではなく、16世紀前半のフィレンツェという都市である点が特徴であり、当時のフィレンツェの政治的・思想的状況、そして人々の暮らしぶりなどが、眼前に浮かんでくるように、活き活きと描かれている。これを可能とする筆者の知識、筆力は脱帽ものである。
ルネッサンス時代のイタリアに興味がある人には、楽しみながら歴史・文化への理解が深まること請け合いであり、お勧めである。
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「緋色のヴェネツィア」でも思ったが、遠い昔の話であるのに、実に生き生きと、登場人物を動かして物語を構築している。
また、登場人物への感情移入をしすぎて、わざとらしく感じられてしまう危険だってあるのに、今作品では、上空から下界を眺める鷹の目のように、事件を目撃させてくれる。
終始水の匂い、潮の香りの漂うヴェネツィアから、半島内部のフィレンツェへ、舞台は移る。
十人委員会から解任され、一般人となったマルコが「花の都」へ旅をする。
乾いた土の匂い、乾いた石畳の香りへ。
メディチ家とひょんなことから関わりをもち、そのうえ、ヴェネツィアで別れてから消息を知らなかったオリンピアと再会する。
共和制の母国を持つマルコの目からは、公爵の思うままに政治が動くフィレンツェはまさしく中世のままに見える。
登場人物らに巧みに政治を語らせ、フィレンツェのみならずイタリアが、いかにフランス・神聖ローマ帝国に干渉されているかがよくわかる。
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いやー、著者はやはりただものではないですねー。すごい力量だと思います。
16世紀という時代、フィレンツェという都市、このころの貴族の生活などを、著者は完全に自家薬籠中のものにしており、自在に話を展開している。
フィレンツェの僭主制から君主制へ向かうプロセスを、ヴェネツィアの共和政体と鮮やかに対比する手腕。政治や国際政治の議論を、登場人物たちの会話に織り込む話の巧みさ。大国スペインの影を、スパイを通してさりげなく描く仕掛けなど、本当に舌を巻いてしまいます。
歴史ってこんなに面白くも書けるものなのですねー。
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架空の主人公がイタリアの三都市を回るシリーズ。著者も実際に住んでいたフィレンツェの姿が、マキアヴェッリとのからみもあってよく描き出されている。同じくフィレンツェを舞台とした(と限らないが)『わが友マキアヴェッリ』と比較するのも面白い。こちらは勿論、実在した人物である、マキアヴェッリが主役。
歴史小説で面白くもあり、また危険でもあるのは、どの部分が創作によるもので、どの部分が事実に基づくものかということだ。この「創作」が塩野氏は実に巧みだ。下手な創作などには、全く興をそがれてしまうが、塩野氏の作品には、著者からの謎掛け(?)を解く楽しみもある。関連して言えば、『サイレント・マイノリティー』の「歴史そのままと歴史離れ」で、著者自身がそれについて述べている。