塩野 七生
緋色のヴェネツィア―聖(サン)マルコ殺人事件
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人気ランキング : 84829位
定価 : ¥ 630
販売元 : 朝日新聞
発売日 : 1993-06 |
価格:¥ 630
納期:通常24時間以内に発送 |
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「ローマ人の物語」の著者塩野七生による、ヴェネツィアとトルコを舞台にした創作歴史絵巻です。
この本の読みどころを簡単に挙げると
1、史実に裏付けられた都市の描写
2、現代のフツーの人なら一生かいま見る事の無い、国家による水面下の活動
3、史実の中を泳ぐ架空の人物=マルコ・ダンドロと遊女オリンピア
といったところでしょうか。
1と2に関しては人気のある他の著作でも見られる、要するに「定評のある」部分なのですが、3についてはこの作品にしかない楽しさです。
モノクロームで実感の無い「歴史」がマルコとオリンピアによってフルカラーの「今」に塗り替えられ、歴史の門外漢である私たち読者を当時の地中海の国々の民にしてくれるのです。
この作品を読んだ後は、テレビの歴史クイズ番組等で見る地中海がそれまでの印象とはまるで違うものになる事は間違いないでしょう。
※しかもなんと三部作です。この楽しさがあと2回もあるのです!
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西洋の歴史なんてあまり興味なかったし、ヴェネツィアを舞台にした物語が始めは読みつらいかと思っていたけど登場人物がとても魅力的ですんなり入っていけました。オリンピアにマルコ、アルヴィーゼ・・時代や国に翻弄されながらもたくましい彼らにわくわくしてきます。話の中には実在の人物が出てくるけどこんなにも自然に物語の一部になっているのが凄いとおもいました。描写がとても豊です。私は歴史上の人物とか出てくると、とたんに教科書を思い出して味気なさや小難しいという様なイメージがわいて話を読みにくいな〜と感じることがあるけど、それが全然なかった。オモシロイ!!!
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小説と言う器に、歴史の面白さをこんな風に盛り込む事ができるのかー、とため息をついてしまった。
本書の背景である、オスマン帝国、ヴェネツィア、十六世紀地中海、どれをとっても、われわれの実生活には、さほどなじみがない。たとえば、トルコといえばトルコ石かなとか、先年地震があったなど、遠い地域である。ましてスルタンの生きた時代など遠い過去の話だ。
本書はヴェネツィアの国益を中心に、トルコ宮廷内の力関係をからめ、トルコと西欧の間にはさまったヴェネツィアの微妙な立場を、憎らしいほど巧妙に描いている。
実際、このころのヴェネツィアは西欧でもありトルコにも愛想をふりまく、こうもりのようである。それが貿易国家の宿命でもある。西欧とトルコの間にあって貿易による実利を?!??ようとする姿勢が、西欧から見れば裏切りのようにも感じられる。
ただ、貿易それ自体が、ヴェネツィアの国益、いな生存に絶対必要なものなのだから、命を懸けた二股であり、裏切りであるところがなんとも切ない。
現代の日本が、アメリカとどこまでつきあえるかといった問題に、つい連想が働いてしまう。現代に生きる知恵を発見できそうな、そういう好著でもある。
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副題に「聖マルコ殺人事件」と付されているので、よくある推理物と勘違いしてしまうかもしれない。しかし本書はヴェネツィアという都市を主人公とした物語なのだ。その意味でこの『緋色のヴェネツィア』『銀色のフィレンツェ』『黄金のローマ』の三部作が一冊となった『三つの都の物語』というタイトルの方がより作品の内容を正確に表しているように思う。ヴェネツィアは、中央集権国家であり当事の超大国であるスペインとトルコとの間にあって苦渋の外交を迫られる。広く国際情勢とトルコ内政を分析した上で立案していく外交戦略を縦軸に、そしてヴェネツィアの正当な貴族であり十人委員会のメンバーであるマルコ・ダンドロと祖国を持てないでいるアルヴィーゼ・グリッティとの友情を横軸に物語は展開していく。
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ルネッサンスの時代・全盛を誇っていたヴェネツイア共和国の中でも由緒ある貴族の家柄に生まれたマルコ・ダンドロ。 かつての学友で、ヴェネツイア最高権力者・ドージェ(元首)の息子でありながら庶子ということで貴族の称号を与えられず、国外でその商才を発揮し戻ってきたアルヴィーゼ・グリッティ。子供の頃は対等であった彼らも、今では貴族と平民に分けられ、時代の力には逆らうことのできない悲劇が待ち構えていた。マルコと長年来の恋人・コルッティッジャーナ(高級娼婦)のオリンピア、アルヴィーゼとプリウリ公の奥方・リディアの関係が、ヴェネツアとトルコを舞台に激しく切なく描かれている。ただの恋愛物ではなく、当時の時代背景・ヴェネツイアの街がまるで自分がその場所に居るかのように鮮明に描かれている様はさすが塩野七生作品とうならせる、3部作の中でも圧巻の歴史絵巻である。